こんにちは、院長の宮脇大です。

「子どもが毎晩いびきをかいていて、心配で・・」

「夜中に呼吸が止まっているように見える瞬間があって、怖くて」

こういったご相談を保護者の方からいただくことがあります。

実は、いびきや睡眠時無呼吸は大人だけの病気ではありません。子どもにも普通に起こります。

そして子どものSAS(睡眠時無呼吸症候群)は、大人とは原因も症状もかなり違うんです。

知らないと見逃しやすい。今日はそのポイントをまとめてお話ししてみますね。


子どものSASは意外と多い

「子どもがSAS?そんなことあるの?」と思う方も多いでしょう。

実は子どもにおける睡眠時無呼吸の有病率は約2〜5%とされています。

クラス30人なら1〜2人の割合。決して珍しい病気ではありません。

特に2〜8歳の子どもに多く見られます。アデノイドがちょうど大きくなる時期だからです(後で詳しく話します)。


大人と違う!子どものSASの主な原因

大人のSASは「肥満」「加齢による筋力低下」が主な原因です。

でも子どものSASの主な原因は、大きく違います。

扁桃腺(口蓋扁桃)とアデノイドの肥大

アデノイドとは、鼻の奥にあるリンパ組織です。子どものアデノイドは2〜8歳ごろに最も大きくなり、その後少しずつ縮んでいきます。

肥大したアデノイドや扁桃腺は、気道をかなり狭めてしまいます。起きているときは筋肉の力で気道を保てますが、眠ると筋肉が緩む。そのタイミングで気道が塞がってしまうんです。

だから「うちの子は太っていないのに、いびきをかいている」という場合でも、アデノイドや扁桃腺が原因であることは多いです。


夜中の様子がヒント — こんなサインは要注意

まずは寝ているときの様子を確認してみてください。

夜間のサイン

  • 毎晩のようにいびきをかく(週3日以上続くようなら特に)
  • 口を開けて寝ている
  • 呼吸が一瞬止まっているように見える
  • 寝相が激しく、布団が大きく乱れる
  • 寝汗が多い
  • 夜尿(おねしょ)が続いている

「呼吸が止まっている」と「夜尿が続いている」は、特に気をつけてほしいサインです。


日中の症状が一番見逃されやすい

ここが子どものSASで一番大切なポイントです。

大人のSASといえば「日中に猛烈に眠くなる」が代表的な症状ですが、子どもはその逆のことが多いんです。

眠れていないのに、日中は眠そうにせず……

多動、落ち着きのなさ、集中力の低下

という形で出ることが多い。

「元気いっぱいに見えるのに、実は睡眠の質がひどい」という状態。親御さんが「睡眠が原因」と気づきにくいのはそのためです・・。

日中に見られるサイン

  • 集中力がない、ぼーっとしていることが多い
  • 落ち着きがない、じっとしていられない(ADHDと間違われることがある)
  • 勉強に集中できない、学力が伸びにくい
  • 朝なかなか起きられない、起こすのが毎日大変
  • 口呼吸が習慣になっている(口をぽかんと開けている)
  • 身長・体重の伸びが少ない

最後の「発育への影響」は特に見落とされがちですが、重要です。

睡眠中には成長ホルモンが分泌されます。SASで睡眠の質が低下すると、このホルモンが十分に出なくなる可能性があります。「うちの子、なかなか大きくならないな・・」という場合、SASが影響していることがあるんです。


大人と子ども、SASはここが違う

比較してみます。

大人のSAS子どものSAS
主な原因肥満・加齢による筋力低下アデノイド・扁桃腺の肥大
日中の典型的な症状強い眠気多動・集中力低下・発育への影響
診断の基準(AHI)5以上2以上(大人より厳しい)
第一選択の治療CPAPアデノイド・扁桃摘出術

診断基準が「AHI 2以上」というのは、大人の「AHI 5以上」より厳しい設定です。

理由は、成長中の子どもは大人と同じ程度の無呼吸でも、体・脳・学習への影響がより深刻になり得るから。医学的にも「子どもにはより厳しめの基準を使う」という考え方になっています。


放置するとどうなるの?

「元気そうに見えるし、まあいいか」と思ってしまうことも多いと思います。

ただ、子どものSASを放置すると、こういった影響が積み重なっていきます。

  • 学習・注意力・行動への影響(学力低下、ADHDとの混同)
  • 成長ホルモンの分泌低下(身長・体重の伸び悩み)
  • 高血圧や心臓への影響(成人になってから現れることも)
  • 情緒面の問題(感情コントロールが難しくなる)

「まだ小さいから大丈夫」ではなく、「小さい今だから早めに対応する」のが大事です。


心配なら、まず耳鼻咽喉科へ

子どものSASが疑われる場合、最初の受診先は耳鼻咽喉科(じびいんこうか)が一般的です。

アデノイドや扁桃腺の大きさを確認し、必要に応じて睡眠検査(睡眠ポリグラフ検査)を行います。

かかりつけの小児科に相談して、紹介してもらう方法もあります。

治療の第一選択はアデノイド・扁桃摘出術です。

大人では「まずCPAP」ですが、子どもの場合は「原因を手術で取り除く」アプローチが標準的です。多くのケースで、手術後にいびきや無呼吸は改善します。

ただし、肥満がある場合や顎・顔の骨格に問題がある場合は、術後もSASが残ることがあります。そのため手術後も一定期間は経過観察が必要です。


Doctor’s Fitness 診療所からのアドバイス

私どものクリニックは成人のSASを専門としており、小児のCPAP治療には現在対応していません。子どもの保険診療の仕組みが成人と異なるためです。

ただ、「子どものいびきが心配なのですが、どこに受診すればいいですか?」というご相談はLINEで受け付けています。

受診先の選び方や、病院に行く前に確認しておきたいポイントなど、お役に立てることがあれば一緒に考えます。

また、保護者の方がSASをお持ちの場合、お子さんにもSASのリスクが高まることがあります。顎や気道の形など、解剖学的な特徴が遺伝的な影響を受けることがあるためです。

「自分のことも心配、子どものこともついでに相談したい」という場合も、ぜひLINEからどうぞ。

成人のSAS検査の流れについてはいびきや日中の眠気が気になる方へ — 自宅でできるSASの検査、まずはここからもあわせてご覧ください。


まとめ

  • 子どものSASは2〜5%に見られる、珍しくない病気
  • 主な原因はアデノイド・扁桃腺の肥大(肥満や加齢ではない)
  • 日中の症状は「眠気」より「多動・集中力低下・発育への影響」が出やすい
  • 診断基準はAHI 2以上(大人より厳しい基準)
  • 治療の第一選択はアデノイド・扁桃摘出術
  • 心配なら耳鼻咽喉科か小児科

「うちの子、いびきかいてるけど大丈夫かな・・」と何となく気になりながら放置するのは、できれば避けてほしいと思っています。

睡眠は子どもの成長・学習・情緒の発達の土台です。早めに専門家に相談することが、長い目で見て一番の近道です。


受診先についてわからないことがあれば、LINEでお気軽にご相談ください。「子どものいびきが気になるのですが」という一言から大丈夫です。


それでは、また!

次回は「パートナーのいびきが気になる方へ — 家族からどう伝える?」についてお話しする予定です。大切な人に「受診してほしい」をどう伝えるか、実は難しいんですよね。


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