こんにちは、院長の宮脇大です。

「太っていないのに、SASと言われました・・」

「いびきをかいている自覚は全然ないのに、検査したらAHIが高かった」

こういった声を、女性の患者さんからよく聞きます。

「SASは太った中年男性の病気でしょう??」というイメージ、まだまだ根強いですよね。

でも実際は、50代以降の女性でSASと診断されるケースが非常に増えています

今日は「女性特有のSAS(睡眠時無呼吸症候群)」について、くわしくお話ししてみますね。


「SASは男性の病気」は大きな誤解です

確かに、若い頃は男性のほうがSASになりやすいです。

成人男性の約3〜7%、成人女性の約2〜5%に睡眠時無呼吸症候群が見られるとされています。

数字だけ見ると「男性に多い病気」に見えますよね。

でも、ここには年齢のマジックがあります。

男性のSASは40〜50代にピークを迎えるのに対し、女性のSASは閉経後(50〜60代以降)に急増するんです。

閉経前と比べると、閉経後はSASになる頻度が約3倍になるという報告があります。

つまり、若い頃は男性に多いけれど、更年期以降の女性にとっては決して珍しくない病気なんです。


なぜ更年期にSASが増えるのか — ホルモンの力を知ってほしい

ここが一番大事なポイントです。

閉経前の女性が比較的SASになりにくいのは、女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の働きがあるからです。

プロゲステロンの「気道を守る」働き

プロゲステロンには、気道を広げておく筋肉の活動を高める作用があります。

「上気道開大筋(じょうきどうかいだいきん)」という、のどを広げてくれる筋肉です。

この筋肉がしっかり働いてくれている間は、眠っていても気道が塞がりにくい。

でも、閉経でプロゲステロンが減ると、のどの筋肉が緩みやすくなって、眠中に気道が塞がりやすくなるんですね。

エストロゲン低下と内臓脂肪の増加

もうひとつ、見落とされがちな変化があります。

エストロゲンが低下すると、体脂肪の分布が変わります。

それまでは皮下脂肪が多かった女性でも、更年期以降は内臓脂肪が増えやすくなります。

2025年の研究では「閉経後女性のSASリスクに、内臓脂肪が約30%関与している」という報告もあります(BMC Endocrine Disorders, 2025)。

「体重が急に増えたわけでもないのに・・」という方でも、体型の変化が影響していることがあるんです。

こうした複合的な変化が重なって、更年期以降にSASが増えていきます。


女性のSASは「いびきなし」が多い — だから見逃される

女性のSASが特に厄介なのは、典型的な「いびき+無呼吸」のサインが出にくいことです。

男性のSASは、大きないびきや「ガッ」という呼吸再開音が特徴的。パートナーが気づいて受診につながるケースも多いです。

でも女性の場合は違います。

「大きないびきをかいていない」「呼吸が止まっていると言われたことがない」

なのに、睡眠の質が著しく低下しているケースがとても多いんです。

理由は、女性のSASは「完全な無呼吸(気道が完全に塞がる)」よりも、「低呼吸(気道が狭くなる)」が多い傾向があるから。

大きな音を立てるほど気道が塞がるわけではないけれど、浅い呼吸が長時間続いて睡眠の質が下がる・・。

そういうパターンが女性には多いんですね。

いびきがないからといって、SASを除外できないということを、ぜひ知っておいてほしいです。


更年期症状と間違えやすい — こんな症状もSASかもしれない

ここが、本当に大事なところです。

女性のSASは症状が「更年期症状」ととても似ているため、「更年期だから仕方ない」と見過ごされやすいんです。

女性のSASでよく見られる症状:

  • 朝起きたときに疲れが取れていない・頭が重い
  • 日中の強い眠気・集中力の低下
  • 不眠(夜中に何度も目が覚める)
  • 気分の落ち込み・うつっぽい症状
  • 夜間頻尿(夜トイレに何度も起きる)
  • 記憶力の低下・物忘れが気になる

「これ、全部更年期だと思っていた・・」という方も多いんです。

もちろん更年期症状と重なることもありますが、SASが原因の部分があると、更年期の治療だけでは改善しないんですよね。

更年期治療でホルモン補充療法を受けているのに、なんとなく体がすっきりしない・・という方は、SASが隠れているケースがあります。

思い当たる症状がいくつかある方は、一度SASの検査を受けてみることをおすすめします。


SASを放置するとどうなるの?

「眠れていないのが続くだけ・・」と思っていませんか??

SASは眠っている間に繰り返す酸素不足が、じわじわと全身にダメージを与えます。

放置した場合のリスク:

  • 高血圧になりやすい(SASは夜間高血圧の主な原因のひとつ)
  • 心房細動・心不全のリスクが上がる
  • 脳卒中のリスクが上がる
  • 2型糖尿病が悪化しやすくなる

更年期以降は心血管系リスク自体が高まる時期でもありますので、SASが重なると二重にリスクが高まってしまいます・・。

詳しくは以前書いた放置するとこわい睡眠時無呼吸症候群 — 心筋梗塞・脳卒中・突然死との意外な関係もぜひ読んでみてください。

「疲れやすくなったのは歳のせい」と思い込まず、一度きちんと調べてみましょう。


Doctor’s Fitness 診療所でのSAS検査について

「病院に行くのが面倒で・・」「近くに専門医がいなくて・・」という方のために、当院では全国対応のオンライン診療を行っています。

検査から診断まで全国どこからでもオンラインで完結

流れはこうです:

  1. LINEで無料相談(「こんな症状があるのですが」という一言から大丈夫)
  2. オンライン初診(保険適用・スマホやPCで受診OK)
  3. 簡易検査キット(アプノモニター)がご自宅に届く — 1晩装着して返送するだけ
  4. 結果説明もオンラインで行います

検査・診断は、全国どこからでもオンラインで完結できます。

CPAP治療が必要になった場合

簡易検査の結果、CPAP(シーパップ)治療が必要と判断された場合は、最初の2回は対面診療をお願いしています。

CPAP開始時の診察と、その後のフォローアップです。

3回目以降は、状態が安定していればオンライン診療に切り替えることができます

最近のCPAPはクラウドでデータが共有されるので、毎日の使用時間・治療下AHI・空気漏れなどが医師側に届いています。そのデータをもとに、精度の高い診察が可能なんです。

なお、機器の組み立てや装着サポートはCPAPメーカーのスタッフが担当しますので、初めての方も安心してください。


気になる方はまずセルフチェックを

「自分がSASかどうか、まだよくわからない・・」という方は、まずこんないびき・眠気は要注意 — SAS(睡眠時無呼吸症候群)セルフチェック10項目でチェックしてみてください。

女性に多い症状(不眠・疲労感・夜中に目が覚める)も含まれていますよ。

実際の検査の流れが気になる方は、いびきや日中の眠気が気になる方へ — 自宅でできるSAS(睡眠時無呼吸症候群)の検査、まずはここからもどうぞ。


まとめ

  • 更年期以降、女性のSASは急増する(閉経前の約3倍)
  • 原因はエストロゲン・プロゲステロンの低下と内臓脂肪の増加
  • 女性のSASは「いびきなし」が多く、見逃されやすい
  • 不眠・疲労感・うつ症状など、更年期症状と区別しにくい
  • 放置すると心血管リスクが高まる
  • 検査・診断は全国どこからでもオンラインで完結(CPAP適用の場合は最初の2回は対面)

「更年期だと思っていたら、実はSASだった」という方は、珍しくないんです・・。

「ちょっと気になる」と感じたら、まずはLINEから気軽にご相談ください。「こんな症状があるのですが、SASでしょうか?」という一言から始めていただければ大丈夫です。


それでは、また!

次回は「子どものいびき・無呼吸 — 大人とは違うサインと対応」についてお話しする予定です。子どものいびきは、大人とはまったく原因も対応も違うんです。ぜひご覧ください。


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